実家の相続の誤りやすい事例13.団信保険の住宅ローン

国税庁ホームページに「相続税申告書作成時の誤りやすい事例集」が公表されています。

http://www.nta.go.jp/souzoku-tokushu/souzoku-ayamarijireishu28.htm

 

本日は、その12.団体信用生命保険契約により返済が免除される住宅ローンです。

 

団体信用生命保険契約、団信と相続税のお話です。

 

(納税者)夫が死亡時点で、自宅の住宅ローン残高が800万円ありましたので、相続税の申告上、マイナスしました。なお、住宅ローンの残高は、団体信用生命保険契約により、後日、返済が免除されました。

 

(税務署)団信により返済が免除される住宅ローンは、支払う必要のない債務ですので、マイナスはしないでください。

 

相続税は、相続開始時、すなわち被相続人死亡時点のプラスの財産からマイナスの財産を差し引いた財産にかかります。

 

いつもお話ししています。

 

で、この事例、相続開始時点で、住宅ローンの残高が800万円ありました。

 

返さなくてよくなったのは、後日のこと。だから800万円をマイナスして、債務控除してまちがっていないんじゃないか。

 

でも、ここで、800万円をマイナスするならば、後日かえさなくてよくなる分は、プラスしないとおかしいです。

 

だって、これ、被相続人の死亡により800万円のお金を受け取って、そのお金で住宅ローンを返済したのと同じですから。

 

死亡時点で、800万円もらえる(すなわちローンを返さなくてよくなる)ことは、確実なので。

 

ですからプラスマイナスゼロで、同じ結果になります。

 

でも税務署はプラスしてマイナスしてくだいとは言ってません。

 

マイナスだけをしないでくださいと言っています。

 

マイナスのお話、債務控除のきまりは、「相続開始の際現に存するもの」・・・昨日お話ししました。

未納の固定資産税・住民税

 

ただ債務控除には、実務上は、「現に存する」に加え、「確実なもの」でないとダメというきまりがあります。

 

相続開始時点で、確実に返さないといけない債務しか、債務控除はできないということです。

 

この事例の場合、確実に返さなくてよい債務ですから・・・マイナス、債務控除はできないということになります。

 

でも、なにか、もやもやしますよね。

 

団体信用生命保険、

 

あれ、これ、法定相続人一人につき500万円の非課税枠がつかえる、みなし相続財産、生命保険じゃないの・・・。

 

もやもやの正体はこれなんです。

 

生命保険金として申告すれば、非課税枠がつかえるじゃないかと。

 

生命保険金として800万円プラス申告、

 

非課税枠つかって法定相続人一人でも500万円マイナス。

 

これで300万円、

 

ここから債務控除800万円マイナスして、300万円から800万円差し引くので、結果マイナス500万円。

 

ほかの財産から500万円引けるんじゃ?・・・。

 

すいません。団体信用生命保険は、保険金受取人も、保険契約者も金融機関で・・・非課税枠がつかえる、生命保険契約ではないのです。

 

イメージ的には、誰かが被相続人にかけていた保険契約です。いわゆる生命保険とはちがうものなのです。

 

はなしがちらかってしまいましたが、結論は、団信で返済免除される住宅ローンは債務控除できない。

 

・・・です。

 

実家の相続なら

生駒市の税理士 西川義弘税理士事務所

 

 

 

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