先日、扶養義務者相互間の贈与についてお話ししましたが・・・
扶養義務者とは、民法では、直系血族及び兄弟姉妹等なんですが、登場人物で、誰かを忘れているような感じがします。
相続税法1の2(抜粋要約)
(定義)
相続税法において、扶養義務者とは、配偶者及び民法に規定する親族をいう。
そうです、配偶者を忘れていました。
ですから、「扶養義務者相互間の贈与」には、子、孫のほか、夫婦間の贈与も含まれるわけです。
したがって、
相続税法21の3(抜粋要約)
(贈与税の非課税財産)
扶養義務者相互間において、生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるものは、贈与税は課さない。
は、
夫婦間において、生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるものは、贈与税は課さない。
となるわけで、この場合の注意点は、
相続税法基本通達21の3の5(抜粋要約)
(生活費及び教育費の取扱い)
非課税となる贈与は、生活費として必要な都度直接これらの用に充てるためのものであって、生活費の名義で取得した財産を預貯金した場合の金額は、通常必要と認められるもの以外のものとして、贈与税を課すものとする。
となります。
生活必要分は、贈与税はかかりませんが、必要分以外は、贈与税がかかると。
ここで、生活費として取得し、預貯金・・・
ん?これは、へそくりですよね。へそくり。
へそくりには贈与税がかかり・・・ますか?。
あれ?
贈与税がかかるのは、贈与により取得した財産に対してです。
贈与とは、贈与契約、すなわち、あげます、もらいますが成立しないといけないんですが、夫婦間の生活費のやりとりで、こんなことはないと思うんです。
やりくりの結果にせよ、自然に増えたにせよ、夫から妻にあげます、もらいますの確認なんかないと思うんです。
そもそも、贈与の確認があったら、へそくりじゃなくなりますよね。
あげたのかもらったのかよくわからない状態で、たまっていくものですよね。
で、どうなるかというと、これは、相続税の対象となるわけです。
夫から妻に移ってるけど、実質夫のものでしょ、となります。
このいわゆるへそくり?が問題となるのは、相続税の税務調査のときなんです。
夫の相続開始時に、妻の預金口座に多額のお金がある。
妻名義の預金口座は、夫名義ではありませんから、当然、申告してません。
税務署からすると、この多額のお金はどこから出てきたんですか?となります。
結婚時の持参金です。
親からの相続した財産です。
働いていたときの貯金です。
・・・説明がつく分は、大丈夫です。妻の物です。
説明がつかない分は、夫のもの、相続財産となります。申告財産漏れ、修正申告となります。
妻からすると納得いかないです。一生懸命やりくりして貯めたもの。これが夫のもの?
生活費のやりくりの結果、余った分は、夫からもらった、贈与されたものなんです。
だから私のものです。
と言っても夫は、もういないわけで、もらったことの証明ができません。
じゃあ贈与、もらったものだとして・・・
贈与税の申告、納税。基礎控除以下なら、贈与契約書は?
・・・夫婦間でそんなことしてません。
で、相続税課税となります。罰金もとられます。
ですから、
相続税の申告時には、「へそくり」のことは、気にしておいてください。
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